人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ヘルシンキ大のいい男~その2

 トビアスは私が日本から来たと知ると、いきなり超・満面の笑顔で「ニーハオマ!!」と中国語で挨拶してきた。思わず私は笑顔がひきつってしまった。ニクラスをチラっと見ると、ニクラスも固まっている。

 私が気を取り直して「そ、それは中国語だよ」と言うと、二クラスも「それは中国語」といたって冷静にトビアスに言った。すると、トビアスは「え?日本人は中国語も話せるんじゃないの?」と、私たち二人以上に驚いて聞いてきた。私が「まあ、そういう挨拶くらいはわかるけど・・・」と答えると、彼は「ヨーローッパの多くの国の人が英語もしゃべれるのと同じで、アジアの人は中国語もしゃべれるんじゃないの?」と言う。

 つまり、トビアスは日本人だって母国語以外のもう一言語くらいしゃべれるものだろう、そしてそれはアジアの中で歴史的に大きな影響を持つ国・中国語だろうと思っていたのだ。確かに・・・かもしれない。日本人って、意識的に勉強しない限り母国語以外の言語が身に付くということが、まずない国民だ。その辺を一応説明したら、「ふ~ん」と不思議がり、また、私の超・ブロークン英語でも、「君はしゃべれるってことは、じゃあ外国で暮らしたり、たくさん勉強したってこと?」と聞いていた。

 するとニクラスが「日本では学校で何年くらい英語の勉強をするの?」と聞いてきた。「中学で3年、高校で3年、大学に行けば更に2年で合計8年」と言うと、「そんなに勉強してるのに日本人は英語があまりしゃべれないの!?」と驚いていた。私は「恥ずかしながら・・・」と答えるしかなかった。

 ニクラス&トビアスに言わせれば、日本人の場合耳から入れる学習(=リスニング)と、口から出す学習(=スピーキング)が明らかに不足しているし、日常生活の中で自然とそれらが染み込んでいく機会が圧倒的に少ないのでは?とのことだ。

 彼らとのこの時の会話の後から今現在まで、ずっと私の中で感じること、それは外国映画を吹き替え放送してしまうことが、せっかくの機会のひとつを潰しているのではということだ。映画館やレンタルビデオなどでは字幕版の方が多いのに、テレビ放送となると地上波チャンネルでは人気の芸能人に吹き替えをさせたり、特定の俳優固定の吹き替え役がいたりする。

 字幕放送のデメリットは、視覚障害者が見れなくなってしまうこと。私は地上波デジタル化の前に、まずは字幕放送と吹き替え放送を、視聴者側で切り替えることが当たり前になることの方が大事だと思うのだが。
 超ブロークンの私には、字幕も吹き替えもナシで原語で見るのはムリだ。でも、CATV放送などで、字幕でドラマや映画を見ていると、わからないことがわかるようになったりするし、前に比べれば、少し相手が速くしゃべっても、チンプンカンプンにならずに済むようになったし、洋楽のCDも結構歌詞カードなくほとんどどんな単語が並んでいるか、聴き取れるようになった。(意味が完全に理解できるということとは別ね)

 フィンランド語と英語、両方をなんとかしたいと勉強中だという私に、二人は繰り返しこう言った。「とにかく、テキストを読むだけじゃなく、耳と口も使うことだよ。間違いがあってもいいんだ。自信を持ってどんどんしゃべって、どんどん聞く。そうすればもっと早く上達するよ。」
 そして、「じゃあ、これから僕たちとたくさん話しをして練習だよ」とトビアスが言った。

by gogofinland | 2005-01-23 15:28 | 1997 Finland