ポルヴォー

 ヘルシンキからバスで1時間半ほど東部に、ポルヴォーというフィンランドで2番目に古い
街がある。
 緑の森に囲まれた真っ青な水面のポルヴォー川、それに面して立ち並ぶ赤い木造の建物。写真で見ただけで「行きたい」気持ちをそそられる場所だ。

 ヘルシンキのバスターミナルを出発すると、バスは市街を抜けて、そのうち白樺の林に囲まれた道路を延々ポルヴォーに向けて走っていく。時々その林の間には、『いかにも』な雰囲気の家が見えたり、車がビュンビュン走る道路の端を乗馬スタイルの北欧美女が馬に乗ってパカパカゆっくり移動してたりする。
 そんな景色を楽しみつつ、ポルヴォー川を渡ると、ヘルシンキやトゥルクとは違って、ものすごくシンプルというか、こぢんまりとした街中のバスターミナルに到着となる。

 ここは本当に外国の小さな町に来たんだなと思わせるような所だ。横道に入ったり、中心部の賑やかな場所を離れて、一面緑の草原のような場所にポツンポツンと建つ個人宅の辺りを歩いたり。住宅地だとあまり人が歩いていなかったりする。
 周囲を森に囲まれたちょっと広い芝生の川岸には、他に誰もいなくて、とても静かで、こういう所にムーミンとかミーとか、そういったトロールたちが出て来そうな気がした。
 とてものどかで、ポカポカのお日さま、深い緑の木々や草花、静かな川の流れるこの場所は、ゴザでも敷いて1日のんびりしたい気分の場所だ。

 私としては、ヘルシンキやトゥルクは都市的で元気よく闊歩する場所、ポルヴォーは目的を持たずにのんびりリラックスする場所、リゾート的な場所という感じかな。

 帰りのバスで、後ろの方の席に座った若い男は、どう見ても酔っ払い、多分アル中という感じの男だった。不精ヒゲを生やし、革ジャンにジーパン、少しクセのあるやや長めの栗色の髪、でも実は結構いい男だったりした。手には紙袋を持っている。中身は酒瓶。ウォッカか何かの瓶だろう。(袋の口から出てたし、たまに飲んでた)

 既に相当酔っているように見えた。何も起こらないといいな・・・と思いつつ、行きと同様、白樺林に囲まれた風景を眺めていた。男は時々何か1人でつぶやいていた。そして、バスが停留所に停まる毎に、1列ずつジグザグに席を前に移動してくる。

 ついに私の反対側の列に移動し、こちらを向いて座って(=横向きってこと)、酔っ払いらしい目でじ~っと見てる・・・ような気がしたので、チラッと様子を見たら目が合ってしまった。
 神経逆なでして、酒瓶で殴られたらどーしよう!?ちょっとビビッた。・・・が、男はにんまり
笑うだけ。これはこれで怖かったりするが、殴られるよりはマシ。でもここで笑い返すのはムリ。窓に向き直った。

 次の停留所で、今度は私の真後ろに来た。時々後ろから私の席の背もたれをコンコンと叩く。そして何かつぶやく。その繰り返し。とにかく「触らぬ神になんとか」ってやつで、バッグをたすきがけにして、上着を上からかけて抱きしめて、寝たふりをしてみた。
 しばらくその調子で停留所を過ぎ、いくつ目かで彼はヨロヨロと降りていった。っちゅ~わけで、別に大した事件は起こらずに済んだというわけだ。
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by gogofinland | 2005-01-23 16:15 | 1997 Finland